1976年の夏、会社を辞めたがっていた僕に遠藤さんから突然“独立するにあたっての自己分析表”が送られて来ました。
「独立する可能性のための分析表(KOSUGI FORUM OF ANALYSIS)」とタイトルまでつけられた、遠藤さんからのB4用紙5枚、20項目にわたる質問状でした。
なんとか書き終えて提出したら、11月に入ってまもなく、第二段階に進んだより具体的な質問状を戴きました。
今度はまるで遠藤さんが横にピッタリとくっつき、手取り足取りの如く実践的な内容でした。
超具体的な税務署対策から日常的な細かいお金の動きまでの指導でした。
もちろんこの背景には経営者としての姿勢を保てるかどうかの最大な教えがありました。こうするうちにも「SYSTEM CREATES INC.」という社名までもつけて戴き、1977年12月13日にスタートを切りました。神田神保町の事務所もご紹介いただき、安い家賃で入居できました。
※ロゴは与口さんにつくっていただきました。
このようなご指導を戴きながら会社は成長し、おかげさまで10周年記念パーティーを盛大に開催でき、遠藤さんも奥様とご一緒に出席して下さり感謝の花束を受けて戴きました。その後も、仕事に猛進しながらも時々壁にぶつかり悩んでいると、不思議なタイミングで近所に来たから食事でもしようと声を掛けて下さり、只世間話をしてお帰りになりました。
だんだんと遠藤さんの指導が緩くなる頃から、本来のだらしなさと気の緩みがでて経営者としての姿勢を忘れてしまい、その悪いタイミングにバブルがはじけ遠藤さんが心配 された通りになり、恥ずかしく正月のご挨拶も出来ない年が続いてしまいました。 初心に返り、忘れていた「独立にあたっての詰問状」を繰り返し読んだのはこの頃でした。
そして、やっとお顔を見て報告が出来るようになったのが98年1月のことでした。何年振りかにお会いし近況を報告する私を、遠藤さんは“この馬鹿たれが”と言う顔で見つめながらも静かに聞いて下さいました。その間の事は聞きもせずただ立ち直れた事を喜んで下さいました。今その時と同じ、やさしい顔をした遠藤さんのお写真が机の前にあります。 そしてもう一つ、この年の6月、事務所を平河町に移転した際に戴いた手紙があります。98年6月25日付けの手紙で、“小杉さん頑張って自分の土地の上に自分の社屋を建てて下さい。私の願いです。親父まだしいことを言うかと思われるでしょうが、どうか本当の独立を確保して下さい。頑固親父の寝言です。ありがとう。
遠藤さん、30年ご指導戴きありがとうございました。
どうかこれからも励まして下さい。
1999.07.07.
小杉博俊